開発奮闘記エピソード(文章のみ)

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6/17から6/24を見てください!


福島県発明展で最高賞「県知事賞」を受賞した便利調理器具”ぐるぐるとって”の開発者 遠藤さんに直接、開発の舞台裏をうかがいました。この「ぐるぐるとって」は魚の内臓を、刃物を使わず身も切らないでキレイに取ることができる優れもの。
さかのぼること10年前、ワカサギの空揚げを料理しようとした際、ワカサギの内臓の苦味が気になり、包丁で何十匹かのエラと内臓を取っていたら、まな板が血でベトベト、洗ってもまな板の黒ずみが取れない。
「アレ?これって、みんな魚の下処理の後のまな板や包丁にベトついた汚れの洗浄に困っているのじゃないのかな?」と思ったのがキッカケ。
割り箸でも取れるんだから、販売されているはずだと探してみるが、見つからない。ネットで調べてみても皆無。
ここから、遠藤さんの10年にも及ぶ波乱万丈の商品開発がスタートしたそうです。
「出会った人全てのおかげでこの商品が生まれました」と語る遠藤さん。とっても魅力的な方で商品化の流れをわかりやすく教えていただきました。開発秘話は少しずつ紹介していきたいと思います。



「ぐるぐるとって」開発その1
最初の壁は魚の内臓が取れないこと。割り箸を使うとうまく内臓が取れるというのは、実は絶妙な摩擦があるおかげ、洗いやすいステンレスの棒やプラスチックだと滑って取れない。
このころの遠藤さんは、週末ごとに2、30匹の魚を購入する日々。いつも冷蔵庫には魚がいっぱいだったそうです。
3年経ったある日、転機が訪れます。何気なくプラスチック棒にゴムを巻きつけた試作品を試すと、スルッと内臓が取れる。普通なら大喜びするところだが、それまで失敗が続いていた遠藤さん、成功したにもかかわらず「これはマグレだ」と思い、しばらく信じられなかったのだとか。
プラスチックとゴムの必勝コンビを見つけた遠藤さんは、そこからさらにハードルを上げていく。
それは、内臓だけをきれいに取ること。
確実に内臓を取ろうとグリップ力を上げると、おなかが破れる。下げるとおなかは破れないが、内臓は取れない。
遠藤さん曰く、最強の敵はサンマ。口が小さくおなかが柔らかいサンマはあっという間に破けてしまう。格闘を続けることそれから4年、とうとう遠藤さんがサンマに勝利する日がやってきます。
その方法は、プラスチックの内側にだけゴムを貼り付けること。
(写真参考)
この経験から遠藤さんは、できてしまえば普通のものでも、それって凄い苦労があったんだと思えるようになったそうです。
7年の歳月を魚の内臓に費やした遠藤さんが言うと、本当にそうだと納得できる。試した魚は1000匹を優に超えるそうです。
この後すぐに、特許を申請した遠藤さん、このあと思いもよらない試練が次々にやってきます。
その2につづく。



「ぐるぐるとって」開発その2
1000匹以上の魚と格闘の末、試作品を完成させた遠藤さんですが、特許申請してからも壁がやってきます。
まずその特許、「ただの棒じゃないのか?」とダメ出しが入った。これは、「ペンチで釘も打てます!」のように使い方を工夫しているだけなんじゃないか?ということ。「いやいや、滑らないようにゴムを貼ったり、柔軟性をもたせたりしてますよ」と必死でそのアイデアの有用性をアピールする遠藤さん。もし、特許がパーになったら1000匹の魚と費やした時間がムダになりますからね。
ようやく特許申請が受理された遠藤さん。今度は製品化してくれるメーカーさんを開拓しようと、片っぱしから電話をかけまくる。
しかし、思いもかけない返答がメーカーさんから返ってきた。それは、プラスチックの形状が細長く、金型で製造するのが難しいとのこと。メーカーさんに断られ続け、100社以上資料を送った遠藤さんに、返答のあった会社は3つ。
チャレンジしてくれるメーカーさんに感謝しつつ、試作品の製造をお願いするも、数ヶ月後、残念なことに全ての会社から、断りの連絡が入ってしまう。
原因は、細長い形状に加えゴムを内側に貼り付けること。
「このままじゃ終わっちゃう。」と本気で悩むが、製造のことはど素人の遠藤さん。まさか特許まで取って、作ってくれる人がいないとは。。。。強靭な精神力を持つ遠藤さんですが、この時ばかりはがっかりしたそうです。ちなみに、特許が1000出されても、商品化されるのはその中の3つだけなんだとか。
その3につづく。
特許庁データベース
魚内臓取り具
公開番号【特開2012−152123】



「ぐるぐるとって」開発その3
製造を依頼した工場にダメ出しされ、路頭に迷った遠藤さん。パソコンで二色成形の製造が出来る工場のサイトを自分で検索しまくります。
そして、営業の方に必死の思いで交渉に臨みます。
特に強調したのは
「もしこの商品が売れたら、この会社にとっても大きな利益になる」というwin winの関係。そして、その話をじっくりと聞く社長さん。遠藤さんが一通り話を終わると
「確かに難しい。けど、その分、他では真似できないね。やってみよう」
とOKを出してくれました。
生産には金型が必要です。「ぐるぐるとって」は2つのパーツからできているので2つの金型が必要。金型は1つウン00万円するそうで、合計?00万、高級車が一台買えるほどの金額を支払ったそうです。
特許の数はあっても製品化できない理由がこれ。
つまり、金型が高い!
あとには引けない遠藤さん。支払うまでは何度も営業と射出成形専門の設計の方に相談し、信頼感を強いものにしていきました。
中には、成功、不成功に関係なくただ作り、失敗してもお金だけ請求する企業もあるそうなので、お願いした時は藁にもすがる思いだったとか
そして、とうとう試験生産開始。
果たしてゴムとプラスチックはくっつくか?
試作品を手に取った遠藤さんと営業の方。無情にもゴムとプラッスチックがパリパリと剥がれてしまうのでした。



「ぐるぐるとって」開発その4
せっかくできた金型。でも主役の商品がゴムが剥がれバキバキ折れる。
このピンチを救ったのはやっぱり、営業の方と射出成形専門の設計の方。
ゴムは接着剤を使用すれば簡単に着くのだが、食品を扱う以上使えない。そこで、何万通りもあるプラスチックとゴムの材質の組み合わせの中からベストな相性を調べ、接着剤なしで接合する方法を見つけ出す。
しかし、弊害がひとつ発生する。それは、ゴムの面積が格段に小さくなってしまったこと。
なんと、ここまで来て形状の開発をもう一度行わなければいけなくなった。
また、魚と格闘する日々に逆戻りした遠藤さん。
ふつうなら「ダメかも?」と思うはず。
しかし遠藤さんは違う。
「難しいから今まで誰もやってない。簡単だったらもうできてるはず。だからやってやろう。」
と気概を持って進み、ゴムのグリップ力をプラスチックの凹凸でカバーした新型を生み出す。この形状は3つ付いているのだが(写真参照)2つでも4つでもだめ。そして、1mm低くても高くてもダメという研究し尽くした形状なのだ。
完成を振り返って遠藤さんが話してくれたのはこの3つ。
「いままでの失敗は、全ていいことに変わっている」
「出会った人だれか一人でもいなかったら完成できなかった」
「自分を信じる」
この話をうかがってから、商品棚に並んでいる製品を見る目が変わったのは言うまでもありません。
ひとつひとつの商品に並々ならぬ苦労があり、ひとつひとつの形状に理由がある。
形状をパクるなんていうのはもっての外ということが、実感できました。
貴重なお話を聞かせていただいた遠藤さん、本当にありがとうございました!